2026/07/05
今回の子供アトリエは、「雨降り」をテーマに描いていただきました。

さて、「雨降り」と聞いて、皆様はどのような状況を思い浮かべるでしょうか?
じめじめとしたうっとうしい天気や、水に濡れて嫌だなぁという気持ち……。 しかし、「雨降って地固まる」という言葉があるように、水がなければ全ての生命は始まらなかったのですから、雨の見方を変えれば、とても素敵な瞬間に思えてきます。
私も雨に濡れるのは嫌いですが、雨降り独特の雰囲気は好きで、自身の制作でも雨をテーマに作品を作ることがあります。

三角山の水たまり
広重とゴッホ:線で描く「雨の情緒」
さて今回は、広重が描いた雨の絵と、それを見て感動して模写したゴッホの絵を並べて考察してみました。

動画の中ではだいぶ大まかに説明してしまったので、もう少し補足させてください。

歌川広重:名所江戸百景 大はしあたけの夕立
この絵には、ザーザー降る激しい雨が描かれています。広重は、この雨をリアルに表現するために、黒い「濃い線」と「薄い線」、そして「角度が違う線」を2回に分けて重ねて版画に刷るという、素晴らしい工夫をしています。 橋の上を走る人々が傘をすぼめて必死に雨をよけている姿からも、見ているだけで激しい雨の音が聞こえてきそうな臨場感があります。

ゴッホへの影響と線の表現
西洋美術でも「線」の表現がなかったわけではありませんが、どちらかというと形を正確に描写するための手段として用いられていました。一方、日本の浮世絵は「すっきりとしたシンプルな線」だけで、人や景色の情緒まで見事に描き出しています。
これがゴッホには「なんて新しくてカッコいいんだ!」と大きな衝撃を与えました。ゴッホは弟への手紙でも「僕もそんな風に、少ない線だけでカッコいい絵が描きたい」と語り、一生懸命に模写をして練習したのです。絵の周囲におもしろがって漢字を書き込んでいることからも、彼の興奮が伝わってきます。
このように、広重の「線で情緒を表現する」スタイルは、その後の感情をストレートに画面に表現するゴッホの作風に、少なからず影響を与えたと考えられます。やはり、感情がストレートに表現されている絵は、いつの時代も見る人の心を打ちます。
それでは今回京都の絵画教室OWL美術研究所で子供たちが描いてくれた絵画作品をご高覧いただければ幸いです

技術は、子どもたちの「描きたい」を叶える道具
当教室では技術も教えますが、それ以上に、子供たちの「描きたい!」という気持ちに応えられる指導を大切にしたいと考えています。
今回ご紹介した広重の雨の表現のように、技術という「道具」を手に入れることで、子供たちの描きたい世界をよりイキイキと表現できるようになります。そのお手伝いができたら、これほど嬉しいことはありません。
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