2026/08/27
今回のこどもアトリエのテーマは「鏡の世界」です。 鏡を使った絵の代表例として自画像があります。金沢美術美術工芸大学洋画科受験のために自画像を描く受験生が何人かいたのですが、適切なサイズの鏡が割れてしまったり、細長いサイズのものはあっても使いづらかったりと、ちょうど良い鏡が少なくなっていました。

そこで「安価なビニール製の鏡面シートでも描けるのでは?」と思い注文してみたのですが、表面が少しぼやけてしまい、自画像を描くには精度が足りませんでした。結局、使いやすい大きめの鏡を3枚買い足すことに。
たくさん集まった鏡を活用する新しい試み

気がつけば、アトリエには鏡らしきものがたくさん集まっていました。 そこで、部屋にこれらの鏡をディスプレイし、鏡に映り込んだ部屋や自分自身、前に置いてあるモチーフを自由にアレンジして描いてみよう、というテーマを設定しました。
最初は受講生にもシンプルな自画像を描いてもらおうと考えたのですが、自画像は何度か経験済みです。せっかくたくさんの大きな鏡があるのだから、何か違うアプローチができないかと考えた結果の出題でした。
初めての試みだったので「うまくいくか」はさておき、鏡が単に自分を映すためだけではない非日常感や、「何か(像)が映る」ということ自体を楽しんでもらいたい、という思いを込めました。
鏡の世界が持つ底知れぬ魅力
私自身、遠い昔に通っていた小学校に、全身が映る大きな歪んだ鏡がありました。その鏡がとても好きで、何度も覗き込んでは歪みを楽しんでいた思い出があります。また、過去にはカーブミラーを題材に作品を描いていた時期もありました。
鏡に映り込むことで「これは現実なのか現象なのか」と錯覚する感覚や、自分が映し出されることで非現実感と強い自己意識が同時に立ち上がる不思議な感覚がとても好きで、鏡の世界には底知れぬ魅力を感じています。その面白さが子どもたちにも伝わらないか、という期待もありました。
ちなみに個人的な持論ですが、「鏡ばかり見る人はナルシスト」と言われるものの、芸術家を目指す人にはナルシスト的な一面(あるいは鏡を覗く感覚を楽しむ感性)が多い気がします。単に「自分が美しいか」を気にするナルシストとは少し違い、鏡がもたらす不思議な感覚を面白いと思える感性が、芸術への一歩になるのではないでしょうか。
さまざまな「映るモチーフ」をディスプレイ
今回のアトリエでは、新しく買った鏡だけでなく、鏡的な要素を持つモチーフもいろいろ並べてみました。
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銀色で光沢のある靴
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ミラーボール
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傷がついて表面が少し曇った古いプラスチック製の鏡
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表面の平滑感がなくシャープに映らないフィルム製の鏡



新調した鏡ははっきりと鮮明に映りますが、靴はぼんやりと周囲を映し、ミラーボールは細かいガラスが光を反射します。素材によってそれぞれ見え方が少しずつ違う面白さも、感じ取ってもらえたら嬉しいなと思いながらセッティングしました。
先週の「水」のテーマもそうでしたが、少し難しそうでも「面白い!」と感じてもらえる体験を提供したい一心です。
子どもたちの表現と嬉しい奇跡
いざ制作が始まると、嬉しい出来事がありました。 私が「昔カーブミラーにハマっていた」という話は一切していないのに、なんとカーブミラーを描いてくれた生徒さんがいたのです!

他にも、単に自分の顔を映して描くだけでなく、「自分自身の後ろ姿と、それを見る鏡」を描いてくれた生徒さんもいました。

それぞれが自分なりの思いをのせて、自由な「鏡の世界」を見事に表現してくれました。
それでは今回鏡の世界をテーマにした、東儀画塾の子供アトリエ作品をご高覧下さい


おまけ金沢美術工芸大学洋画科合格者作品

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